学生時代のことですが、近畿大学の水産学科で勉強しておりました。
世の人たちは「あのマグロのでしょ?」と言います。
もちろんマグロのこともやっていましたが、みんながマグロに携わる研究をするわけではありません。
私の4回生の卒業論文は水槽内に増殖するバクテリアについてでした。
しかし一口にバクテリアといっても様々なものがあります。
クロレラなどの植物から、細菌などのプランクトン系、
(厳密にいうとクロレラもプランクトンなのですが。)
ウィルスなんかも増殖します。
それらは病気の原因になることもありますが、硝化細菌などは水中のアンモニアなどを分解してくれます。
目では見えない世界ですが、非常に奥が深い分野です。

そんな中、新商品が出ました。
TUNZEからケアバクターが登場です。
海外での評価が非常に高く、日本でのリリースを」心待ちにしていた方も多いのではないのでしょうか。
「ただのバクテリア剤でしょ?」
いや、バクテリアってほんと奥が深いんですよ。
話題の商品も出ましたので、個人的見解と偏見を交えながら(笑)少しお話を。。。

G3ではいろいろなバクテリア剤を取り扱っていますが、硝化細菌の分野で言うと断トツでプロディビオのバイオダイジェストが売れています。
こちらの商品は非常に高濃度であり、かつ劣化しにくいガラスアンプルに入っているので、非常に使いやすいです。
小型水槽から大型水槽まで、さまざまなアクアリストにご愛顧頂いております。
決してデメリットではありませんが、中身は硝化細菌しか入っていません。
バクテリアには硝化作用しか求めていない、という方には関係ありませんが。
なので水質が良くなって魚の病気に対するリスクが減る役割はあれど、直接的に病原菌に作用することはありません。
少し話がそれますが、バクテリアの増殖は椅子取りゲームみたいなものです。
10個の椅子があれば、数々のバクテリアはその10個を取り合います。
半ケツ乗せながらでも、自分の種の反映のために陣取り合戦をしております。
つまり通常の水槽内では、10個の椅子は常に埋まっておりますが押し合いへし合いで増殖できる機会をうかがっております。
そんな水槽で換水を行います。
つまりどうなりますか?
そうなんです。10個の椅子の内、2個とか3個とかの椅子が急に空くんです。
バクテリアたちは我先にその空いた椅子を狙います。
換水後にバクテリア剤を入れる理由はここにあります!
その空いた椅子に、訳の分からないバクテリアが増える前に、硝化細菌を投入し無理やり座らせます。
この繰り返しによって、水槽内の硝化細菌の割合が上がり、訳の分からないバクテリア達の割合が少なくなります。
これが、半年から1年で水槽が落ち着いてくる理由だと、つっちーは考えます。

今回の新商品は、硝化作用はもちろんですが特筆すべきことは「ビブリオの抑制」です。
「ビブリオってなんじゃらほい」
と言う方も多いかと思います。
アクアの業界ではまだまだマイナーですが、養殖の業界ではスタンダードなものです。
簡単にいうと、グラム陰性菌、グラム陽性菌、レンサ球菌、ボツリヌス中毒などによって引き起こされる免疫異常による魚の死です。
(若干違いますが、今日は割愛します。)
アクアでもよく原因不明で魚が死ぬことがあります。
それも餌を良く食べていた個体がコロっと死ぬんです。
もちろんすべてがビブリオとは断言しませんが、それが要因となることもあります。
養殖の業界ではワクチン液に魚を浸ける方法もありますが、その対策の多くは「持ち込まない・増やさない」です。
正直増えるとどうしようもありません。
椅子取りゲームの要領で言うと、10のうち5も犯されると手がつけれなくなります。
そんな時は大量換水と、バクテリア剤の大量投入による荒療治が確実です。
しかしこのバクテリア剤はビブリオに由来する細菌の活動を抑制し、さらには減少させることも出来るとのこと。
これからのバクテリア剤のスタンダードになるのではないでしょうか。
気になる方はこちらからどうぞ!!
それでは明日も13時〜20時でお待ちしております。
バイチャ!
大土